これからの「マニュアル」の話をしよう
▶マニュアルをリカバリーするもの
人を管理する際、必ず出てくるキーワードがマニュアル。
でも完璧なマニュアルなんて存在しない、とよく言いますよね。
そんなマニュアルの欠点を補い、むしろプラスにしてくれる、
まるで魔法のようなモノが存在します。
それは「価値観」です。
▶3.11@ディズニーランド
この手の話で一番最初に頭をよぎる企業は、オリエンタルランド。
そうですディズニーランドです。
有名な話ですが、ディズニーランドでは4つの行動規準と優先順位がつけられています。
「Safety(安全)」
「Courtesy(礼儀正しさ)」
「Show(ショー)」
「Efficiency(効率)」
頭文字を取って、「SCSE」と呼ぶそうです。
その全容は
あの3.11でもぶれなかったディズニーランド(日経ビジネスONLINE)
ここにありますが、僕が得にお伝えしたい箇所を引用させていただきます。
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(引用1)
TDRでは「震度6強」を想定した体制と防災訓練がなされていた。訓練の回数は、セクションごとのものも含めると1年で
実に180回に及ぶという。2日に1回は園内のどこかで防災訓練がなされている計算になる。年に1度、防災の日(9月1日)に
申し訳程度に避難訓練だけを実施している企業とは、安全に対する意識が根本的に違うのだ。TDRには2台の消防自動車が
園内の見えないところに配置され、24時間体制のファイヤーキャストが控えている。
(引用2)
そこでTDRの幹部は開園以来28年間守ってきた“禁”を破る決断をした。バックヤードという従業員だけが利用する通路に
ゲストを通して、より短距離で安全にシーに誘導することにしたのだ。
『夢の王国』のイメージを壊してしまうことになるかもしれない。それでもゲストの安全確保のために、彼らは決断したのだ。
統括本部で指揮を執っていた同社の阪本さんは、
「これまでは決してしなかったことですね。『夢の王国』のバックが見えてしまいますので」
と説明した。多くのゲストのためにバックヤードを開くという決断はこの時が初めてだったのだろう。
しかしTDRは個別にはこのルールを破ることがあると聞く。それはけが人が出た時だ。園内には応急処置ができる施設があるが、
すぐに病院で診てもらった方がいいと判断した際は、バックヤードに待たせたクルマで素早くゲストを病院に案内する。
話を防災対策に戻すと、TDRでは約5万人が3、4日は園内で過ごせるだけの非常食が備蓄してあるそうだ。今回の2万人なら
1週間以上暮らせる計算だ。しかも短時間で温かいご飯になる。今回もそのご飯がゲストたちに配られた。友人と来園していた
あるゲストは、配られた大豆ひじきご飯に
「ほっとしました。まさか温かいご飯を食べられると思っていなかったので、びっくりしました」と答えていた。
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▶縛るのは行動ではなく、優先順位
「これをしちゃダメ」
「この場合はこうする」
といったように、行動を縛るのではなく、優先順位を徹底して縛る。
そうすることでスタッフが自由に動ける。
まさに「一定の不自由を設けるからこそ自由が生まれる」ということを実践しています。
▶会社としての本気は行動に
それよりも感銘を受けたのは、会社が価値観を見事に行動レベルまでおとしていることです。
年間180回の避難訓練、2台の消防自動車を常時待機、24時間体制のファイヤーキャスト(消防士かな?)。
これは行動規準が単なる体裁ではなく、会社として本気で取り組まれている表れです。
恐らく面接や研修時での教育、そして勤務後も継続してこの行動規準のリテンションを徹底していることが
安易に推測できます。
価値観とは言葉だけでは血が通わないし、組織にも浸透しない。
会社として行動レベルまでおとして初めて活きる、生きるのだと思います。
▶マニュアルの浸透より、価値観の浸透を
ホスピタリティ業界とは、観光、旅行、ホテル、レストラン、ウェディング、人材、介護などの業界のことを言います。
スタッフの接客レベルにより大きく付加価値が変わる業界です。顧客1人1人とのビジネスですので、労働集約にならざるを得ません。
だからこそ脱マニュアルをどこまでできるか、がこれからの分かれ目になると思います。
ザッポスやノードストロームが競合と同じ商品を扱っているのに、なぜ選ばれ続けるか。
共通しているのは、ディズニーランドと同じだと思います。
マニュアルの浸透より、価値観の浸透を重視しているからではないでしょうか。